富士山噴火想定 火山灰被害“国内初”実証実験の成果
富士山噴火を想定した火山灰被害の国内初実証実験
2026年1月16日、富士山が噴火した際の火山灰被害を調べるために、国内で初めての実証実験が山梨県富士河口湖町で始まりました。この実験は、実際の噴火で火山灰が建物に積もった場合の被害をリアルに把握することを目的としています。
実験の背景と目的
富士山は活火山であり、過去には大量の火山灰が関東平野まで降った「宝永噴火(1707年)」のような大規模噴火の記録があります。噴火した際に降る火山灰は、住宅やインフラ、交通機関など生活インフラに甚大な影響を及ぼす可能性があるとされており、実際の被害を想定した実験はこれまで進んでいませんでした。今回の実証実験は、そうした「実際のデータ」の不足を解消するために企画されました。
実験の内容
実験は、山梨県が1976年に建てられた木造の建物を富士河口湖町の実験場に移築し、その屋根に鹿児島県・桜島の火山灰を積む形で行われています。
-
屋根には桜島の火山灰を約20トン(=30cm程度の積雪に相当)積み上げました。
-
この火山灰の重量で屋根の梁が最大約2.7センチ沈んだことが確認されました。
-
実験はこれから約3カ月間継続し、時間経過や雨・雪による灰の重さの変化が建物耐久性に与える影響を調べていきます。
実験から見えたリスク
現時点のデータでは、30センチ程度の火山灰が積もるだけでも、木造住宅の屋根に変形・沈みが生じる可能性があることがわかっています。とくに耐震性や耐荷重が低い古い木造家屋では、火山灰が積もった状態で雨が降ると重さが増し、倒壊の恐れもあるという点が確認されています。
このような傾向は、降灰が広範囲に及ぶ大噴火時には、都市部でも同様の被害が起きる可能性を示す重要なデータとなります。実際、首都圏が火山灰で広く覆われると、交通機関の麻痺や電力・水道などインフラ停止のリスクも高まるというシミュレーションがこれまで指摘されてきました(実験とは別の予測研究より)。
実験の意義と今後の活用
この実証実験の意義は大きく、噴火時の被害把握だけでなく、避難時期や被害予測の基準づくりに直結するデータを得ることにあります。これまで富士山噴火への備えはシミュレーションや予測モデルが中心でしたが、実際の建物を使ったデータを取得することで、現実的な防災計画の策定が可能になります。
たとえば、どの程度火山灰が積もると住宅避難から避難行動へ切り替えるべきか、どの建物構造だと被害が出やすいかなどの具体的な基準作りに役立ちます。県や自治体はこの実験結果を基に、災害時の避難計画や防災情報伝達の改善へつなげていく予定です。
参照した国内ニュース
-
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000479211.html
富士山噴火時 火山灰被害を国内初の実証実験(テレ朝NEWS) -
https://www.fujisan-net.jp/cat_news/3031404
火山灰堆積屋根にゆがみ 県と富士山研究所 家屋の耐久性初実験(富士山NET)