火山・噴火の歴史:箱根山

箱根は、神奈川県と静岡県の県境付近に位置する火山です。東京から西へ約100kmの場所にあり、観光地としても知られています。

箱根山は全体がカルデラ火山で、三重式の火山を形成しています。その範囲は東西8km、南北12kmに及びます。主な火山は、大涌谷、小涌谷、箱根山、神山などです。

地質構造

箱根はフィリピン海プレートが陸側に沈み込んだ場所に位置しています。そのため、沈み込んだプレートから供給される物質が、箱根の火山活動の原動力となっています。

箱根の火山体は主に安山岩質の火山噴出物から構成されており、溶岩や火砕流堆積物、火砕サージ堆積物など様々な産物が認められます。地下には、マグマ溜まりが存在していると考えられています。

箱根山の噴火の歴史

箱根山は40万年前から噴火活動を開始します。最近1万年間の活動は、カルデラ内の後期中央火口丘郡に限られます。

マグマ噴火としては、約8000年前の上山山頂付近の噴火、約5700年前の二子山溶岩ドームの噴火が挙げられます。最後に発生したマグマ噴火は約3200年前の神山で、この時は神山の北側が山体崩壊しました。

12世紀後半からの噴火の後、火山活動は1933年まで沈黙します。1933年2月、大涌谷での噴気があり、噴気孔の移動や、姥子温泉の湧出量減少などの異常が起きました。5月には大涌谷の噴気孔で大音響とともに噴気が噴出、死者が1名出ました。

1934年には鳴動や山麓一帯の地温上昇、樹木の枯死が見られ、噴気が発生。1953年には山崩れが起き、2001年には地震と箱根山を中心に膨張示す地殻変動がありました。2008年には駒ヶ岳付近で一時的に地震が増加、6月より箱根山を中心に膨張を示す地殻変動が見られました。東日本大震災以降の2011年3月〜4月にかけて、駒ヶ岳から芦ノ湖付近、金時山付近、大涌谷北部での地震活動が活発化しました。

2015年4月 箱根山の噴火

2015年の4月から新たな噴気孔の周囲で火山灰などの噴出物の体積による盛り上がりを確認したほか、ロープウェー大涌谷駅付近で降灰を確認します。そして大涌谷でごく小規模の噴火が発生しました。約900年ぶりの噴火でした。特に災害はなく終息に向かったものの、観光客減により地元は大きな打撃を受けました。

参考文献

『日本の火山』, 山と渓谷社, 2016年

箱根山関連のハザードマップなど