降灰(火山灰)はどれほど危険?富士山噴火時に起こる被害と“確実に役立つ対策”を徹底解説

はじめに

富士山が噴火した場合、最も広範囲に深刻な影響を与えるのは 「降灰(火山灰)」 です。

噴火口から数十キロ離れた山梨・静岡はもちろん、
風向き次第では東京 23 区、千葉、埼玉まで灰が積もり、都市機能が麻痺する とされています。

火山灰は「砂ではなくガラス片」のような性質を持ち、

  • 電力
  • 交通
  • 水道
  • 自動車
  • 医療

あらゆる生活基盤に被害をもたらします。

ここでは、内閣府・火山防災の専門家が示す知見をもとに、
降灰で何が起きるのか、どれほど危険なのか、どう備えるのが正しいのか
を分かりやすくまとめます。

1|火山灰とは何か?誤解されがちな“本当の危険性”

火山灰は、単なる「砂」ではありません。

実際には、マグマが粉砕された
直径2mm以下の鋭いガラス質の粒子 です。

【特徴】非常に軽く、遠くまで飛ぶ

粒子が軽く、風で容易に運ばれます。

富士山の過去噴火では、江戸(東京)まで確実に灰が到達しました。

【特徴】水に溶けない

雨が降っても固まらず、
排水溝を泥のように詰まらせます

【特徴】乾燥すると舞い上がり続ける

一度積もった灰は車や人の動きで何度でも舞い上がり、
“何日も空が煙っている”状態になります。

2|富士山噴火で想定される降灰量と影響範囲

富士山噴火時の降灰予想エリア

内閣府 富士山ハザードマップ検討委員会が発表する富士山噴火時の降灰予想エリアを見てみましょう。

富士山噴火時の降灰予想エリア

出典:富士山ハザードマップ検討委員会

風向きによって被害は大きく変わりますが、
冬〜春は偏西風で 東京方向に流れやすい とされています。

想定される降灰量

地域別にみると、以下のようなケースが想定されます。

  • 御殿場市・富士吉田市:10〜30cm以上
  • 山梨県甲府市:3〜10cm
  • 東京都心:1〜10mm
  • 神奈川・埼玉:1〜数mm
  • 千葉県:数mm〜1cm

わずか数 mm でも生活への影響は深刻で、
1cmを超えると都市機能はほぼ停止すると言われています。

3|降灰が引き起こす具体的な被害(一次・二次被害)

1. 交通インフラの麻痺

火山灰による最大の被害は「交通麻痺」です。

● 道路

  • 路面が滑りやすくなる(氷より滑る)
  • 視界不良で事故多発
  • 交通量が多い道路ほど灰が舞い上がり再び視界不良に
  • 降雨後は泥となり除去に膨大な時間

● 鉄道

  • 架線に灰が付着 → 漏電・停止
  • 車輪とレールの摩擦低下 → 運行不能
    新幹線は長期間の運休が想定されます。

● 飛行機

  • ジェットエンジンが損傷するため 離着陸不可
  • 羽田・成田 同時停止の可能性

2. 電力・通信

火山灰は電気を通しやすいため、湿ると送電設備をショートさせます。

  • 大規模停電
  • 携帯基地局の故障
  • インターネット障害

東京都心に数 mm の降灰でも、
電力インフラの障害は十分に起こり得るとされています。

3. 水道・下水の停止

火山灰は非常に細かく、濁度が高いため浄水場が停止します。

  • 水道水の供給停止
  • 河川の濁度上昇
  • 下水施設の詰まり
  • 井戸水もフィルターが機能しにくい

特に下水道の詰まりは深刻で、
都市部で数ヶ月以上の処理能力低下が続く可能性も指摘されています。

4. 自動車・家電の故障

火山灰は細かいガラス片のため、

  • エンジンフィルターを破損
  • ラジエーターを詰まらせる
  • 空調が故障
  • 家電のモーター内部に入り込む

車は ほぼ確実に故障リスク が高まります。

とくに吸気口のあるガソリン車は注意が必要です。

5. 健康被害

火山灰を吸い込むと、

  • 喘息症状
  • 喉や肺の炎症
  • 結膜炎
  • アレルギー症状

が発生します。

特に、乳幼児・高齢者・呼吸器疾患のある人は注意が必要です。

4|降灰から身を守るための“本当に必要な”対策

降灰は地震のように突然来ることは少なく、
噴火警戒情報 → 噴煙確認 → 数時間〜数十時間後に降灰
という流れが一般的です。

事前に備えておくことで、生活の被害は大幅に減らせます。

5|個人が必ず備えるべきアイテム

1. 呼吸器・目を守るもの

● DS2/N95 マスク(必須)

サージカルマスク(一般的に販売されている風邪マスク)では火山灰が横から入り込む恐れがあります。DS2など国家検定に合格した高機能マスクを使用しましょう。

● 防塵ゴーグル(必須)

眼の炎症を防ぐため必須です。

2. 自宅の生活基盤を守るもの

  • 飲料水(1人3L×3日)
  • 非常食(3〜5日分)
  • 非常用トイレ(停水対策)
  • モバイルバッテリー(2〜4台)
  • ブルーシート(屋外機器の保護)
  • 養生テープ+不織布(窓の隙間対策)
  • 下水詰まり防止用の袋(キッチン・風呂・排水口)

特に 水の確保 は最重要です。

水が詰まるとトイレが使えなくなるため、非常用トイレは必ず備えてください。

3. 車の対策

  • 使わない時はカバー
  • エアフィルターの予備を確保
  • 不要不急の運転を避ける

灰道(灰で覆われた道路)は車の故障が急増します。

6|降灰当日の行動マニュアル

富士山噴火のニュースが入ったら、
まず最優先すべきは 「屋内退避」 です。

【行動1】窓をすべて閉める

サッシのレールに不織布を貼ると侵入が大幅に減ります。

【行動2】洗濯物はすぐ取り込む

灰は繊維に入り込み、
洗っても取れにくくなります。

【行動3】外出は極力避ける

どうしても外出する場合は、
DS2マスク+ゴーグル+帽子+長袖が必須です。

【行動4】車の利用は避ける

視界不良・故障の危険が高いです。

7|企業・自治体が取るべき対策(BCP)

降灰による都市の混乱は「長期化」する可能性があります。

従業員の出勤制限

灰が舞っている状態では徒歩でも危険。
自宅待機 → リモートワーク が基本となります。

工場設備のフィルター対策

灰で設備が故障しやすいため、
事前のフィルター交換体制が必須です。

発電機・水の備蓄

  • インフラ停止
  • 物流停止

に備え、非常用電源と水の確保が必須です。

8|まとめ

このように、富士山噴火が起きたとき、最も深刻な被害を引き起こすのは降灰(火山灰) です。

  • 交通
  • 電力
  • 水道
  • 下水
  • 医療
  • 自動車
  • 物流

都市機能のほぼすべてに影響が出ます。

しかし、事前に備えておくことで生活被害は大幅に軽減できます。

特に重要なのは
マスク(DS2/N95)、防塵ゴーグル、水、非常用トイレ、電源確保。

火山灰の性質を正しく理解し、
「噴火が来ても数日間は問題なく生活できる」
という状態を整えておくことが命を守る鍵になります。

次に学ぶこと:富士山噴火の予兆

富士山は活火山であり、将来的に再噴火のリスクが常に存在します。噴火が起きる前には必ず何らかの兆候があると考えられています。

「富士山噴火の予兆」はこちら


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本記事の信頼性について

本記事は、気象庁・内閣府・環境省・各自治体が公表する火山・防災情報をもとに作成しています。防災士が内容をチェックし、最新の情報を反映するため定期的に更新しています。

参考資料・出典