噴火対策マスク・ゴーグルの選び方|火山灰から目と呼吸器を守ろう

目次
火山灰の危険性
火山灰の正体は「ガラス片」
噴火活動にともない放出される火山灰。灰がパラパラ降ってくるだけなら、そこまで人体に危険はないのでしょうか?
火山灰は「灰」と書きますが、その正体は、マグマが細かく砕けた「ガラス片」です。直径2mm以下の細かい粒子で、火山灰を顕微鏡で見ると、鋭利な形状をしていることが分かります。

火山灰による健康被害
ガラス片である火山灰を吸い込むと、喉や呼吸器を傷つけ、気管支炎を起こす可能性があり、危険です。1707年に富士山が大噴火(宝永噴火)した際には、火山灰で呼吸器を患い、咳をする人が多数出たと記録されています。
また、火山灰が目に入ると網膜を傷つける恐れがあります。
呼吸器の影響
- 息苦しくなる
- 鼻の炎症と鼻水
- のどの炎症と痛み
- 気管支炎の悪化
- ぜんそくの悪化
目の影響
- 目の痛み、かゆみ
- 充血
- 角膜剥離、擦り傷
- 急性結膜炎
- 結膜のうの炎症

火山灰対策に必要なマスクとゴーグルを選ぼう
火山灰から呼吸器や目を守るには、火山灰対策に適したマスク、ゴーグルを選ぶことが大切です。
以下より、噴火ドットコムがお勧めする、噴火災害に適切なマスクとゴーグルを紹介します。
火山灰対策マスク
火山灰対策に対応したマスクの選び方
火山灰対策には「DS2」国家検定区分の規格に合格したマスクが有効です。
DS2とは日本の厚生労働省が定める「使い捨て式防じんマスク」の国家検定規格の一つで、特定の粒径の粒子に対し高い捕集率(95%以上)の性能が認められた製品につけられます。アメリカのN95規格に相当します。
DS2規格のマスクなら、火山灰の他、感染症対策や大気汚染PM2.5などの粒子状物質対策にも使用できます。
ハイグレード火山灰対応マスク
DS2規格の防護力
国家検定区分のDS2規格の、日本製防じんマスクです。
隙間ができず、ぴったりフィット
丸いお椀のような形と接顔布により、マスクと顔の隙間をカバーし、密着効果を高めます。
密着するのに呼吸がしやすい
インナーフレームによる立体的な構造で口元の空間を確保し、長時間着用しても呼吸が苦しくありません
他の高機能マスクと一線を画す、圧倒的な呼吸のしやすさが、本マスクの最大の特徴です。
一般成人の他、小柄な顔、小学校高学年にも使用可能
商品は一般成人向けに製造されておりますが、マスクの構造と接顔布により、小柄な顔や小学校高学年以上のお子様でも密着した状態でご使用いただけます。
※個人差があります。
商品仕様
1袋10枚入り/国家検定区分:DS2(N95相当)/使用限度時間:14時間/備蓄可能年数: 製造日より2年
商品の詳しい説明、購入
ハイグレード火山灰対応マスク 排気弁付き
排気弁付きで呼吸しやすい
「ハイグレード火山灰対応マスク」に、排気弁がついてさらに呼吸しやすくなったタイプです。
長時間の使用や、熱気、ムレによる不快感や息苦しさを軽減します。
商品仕様
1袋10枚入り/国家検定区分:DS2(N95相当)/使用限度時間:15時間/備蓄可能年数: 製造日より2年
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スタンダード火山灰対応マスク
DS2規格の防護力
国家検定区分のDS2規格の、日本製防じんマスクです。
3つの機能でぴったり密着
空気のもれなく密着する3つの機能付き。
- アジャスター:しめひもの長さ調節ができます。
- クッション:内側のクッションによって、マスクと鼻部のすき間をなくすことができます。
- 鼻当て:外側の鼻当てによって、鼻の形に合わせることができます。
商品仕様
1袋10枚入り/国家検定区分:DS2(N95相当)/使用限度時間:14時間/備蓄可能年数: 製造日より3年
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火山灰対策ゴーグル
火山灰対策に適したゴーグルの選び方
高機能ゴーグルはいく種類かありますが、火山灰対策に適したゴーグルは以下の条件を満たしたものです。
- 顔に密着できるサイズ調整ができること。
- 通気孔のついていない無気孔型であること。通常のゴーグルは曇り防止のために通気孔がついています。この通気孔から火山灰が侵入するリスクがあるため、無気孔型、最低でも上と横に通気孔の無いゴーグルを選びましょう。
- 曇り止めがされていること。無気孔型ゴーグルは換気されないため曇りやすい弱点があります。曇り防止加工がされたゴーグルを選びましょう。
- 眼鏡と併用できること。普段、眼鏡を使用している方は、眼鏡の上から装着できるゴーグルが必須です。
ハイグレード火山灰対策ゴーグル
消防・災害現場で使用される無気孔型高機能ゴーグル
上部や側面に通気孔のない無気孔型のため、密閉性が高く、火山灰のゴーグル内への侵入を防ぎます。また、表面のレンズが通常のゴーグルより硬くなっています。 消防・災害現場で使用される高機能マスクです。
曇りを防ぐ特殊加工
通常のゴーグルはマスクの上部から漏れる息で曇りますが、本製品はゴーグルのレンズ両面に特殊加工を施してあり、水分をスポンジのように取り込むので全く曇りません。 吸収しきれない水分は滴となって流れ落ちます。
また、400nmまでの紫外線を100%カットします。
眼鏡と一緒に装着可能
通常の眼鏡と一緒に装着することが可能です。
頭部サイズに合わせバンドで調節可能
ヘッドバンドで最適な締め付けに調整できます。
小柄な顔や中学生の使用も可能です。
※個人差あり
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火山灰対策ゴーグル 小さめサイズ
児童・女性向など小柄な顔に適した小さめサイズ
児童や小柄な女性向けの小さめサイズのゴーグルです。バンドを調整して顔のサイズに合わせることができます。
通気孔は下部のみ
フレーム下部に通気孔があります。無気孔ではありませんが、上部から降る火山灰を防ぐことができます。
曇り止め加工
内側はくもり止め加工を施しています。レンズの外側は傷つき防止のためのハードコートが施されています。
※眼鏡との併用はできません
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よくある質問
Q. 普通のサージカルマスク(一般的な風邪マスク)は火山灰対策に使えないの?
サージカルマスクも、着けないよりは着けたほうが、火山灰対策に効果を発揮します。
しかし、以下の点から、火山灰対策にはサージカルマスクよりもDS2規格マスクをお勧めします。
・サージカルマスクは基本的に自分の呼吸や飛沫が飛ばないようにするためであり、外から入り込む粒子を防ぐことをおもたる目的としていません。そのため、マスクの密着していない部分から火山灰等が入ってくるリスクがあります。
・火山灰にはPM2.5の微細粒子が含まれますが、通常のサージカルマスクの多くがPM2.5の捕集に対応していません。
サージカルマスクに効果が無いわけではありませんが、より高い防護力を求める場合は、上記で紹介したDS2規格マスクの使用をお勧め致します。
Q. 子供向けのDS2規格マスクはありますか?
DS2規格は本来、医療や災害、危険性を伴う工事現場での使用を想定された製品に対してつけられます。そのため、基本的には子供向けDS2マスクはなく、成人男女向けの製品しかありません。
お子様は基本的にサージカルマスクを使用し、火山灰の激しい期間は外出を控える対策を取るのが望ましいでしょう。
噴火.comでは独自に「ハイグレード火山灰対応マスク」が小学校高学年でも密着した状態で使用できることを確認しています(個人差があります)。本マスクの構造と接眼布によるものです。本来は一般成人向けの仕様であることを認識のうえ、体格によっては小柄な方への使用が可能です。
Q. 紹介した各マスクの違いは何ですか?
どれもDS2規格のため、火山灰からの防護性能は同じと考えて構いません。
違いは装着時の呼吸のしやすさです。防護性能が高いマスクほど、逆に呼吸もしづらくなる傾向があります。
「ハイグレード火山灰対応マスク 排気弁付き」→「ハイグレード火山灰対応マスク」→「スタンダード火山灰対策マスク」の順で呼吸がしやすい作りとなっています。
Q. マスクの保管期限は何年ですか?
「ハイグレード火山灰対応マスク」「ハイグレード火山灰対応マスク 排気弁付き」は製造日から2年、「スタンダード火山灰対策マスク」は製造日より3年です。
直射日光の当たらない場所に保管して置きましょう。
Q. マスクの仕様に「使用限度時間」があります。一度着けたあとは、途中で外しても、使用限度時間を超えると使用できないのでしょうか。
使用限度時間は、装着時の合計時間の目安です。おもにマスクフィルターの目詰まりによる捕集機能低下までが使用限度時間となっております。そのため、降灰の激しい場所での使用で、目詰まりが早く息苦しい場合は、使用限度時間内であっても交換をお勧めいたします。
Q. 子供向けの火山灰対策ゴーグルはありますか?
「火山灰対策ゴーグル 小さめサイズ」がお勧めです。
Q. 火山灰が降っている時はコンタクトレンズを外した方がいいですか?
コンタクトレンズの装着中に火山灰が目に入ると、角膜を傷つけるおそれがあります。眼鏡への切り替えをお勧めします。「ハイグレード火山灰対策ゴーグル」なら眼鏡の上から装着可能です。
Q. 火山灰対策ゴーグルの保管期限は何年ですか?
火山灰対策ゴーグルの保管期限は特に定めがありません。直射日光が当たる場所や高音の場所への保管は材質に影響を与えることがあるので避けてください。また、長い期間保管した後に使用する場合は、ゴム等が劣化していないか確認してください。
Q. 噴火による火山灰はどれくらいの期間、続くの?
実際の噴火の事例では、桜島のように、常に小規模な噴火や火山灰放出が起きている火山もあります。霧島連山のように、ある一定期間(数ヶ月)噴火が続き、小康状態から噴火停止になり、数年後に再び活発化する火山もあります。1990年の雲仙普賢岳噴火は、途中小康を挟みつつ4年半続きました。
このように、噴火の期間は、火山や発生の状況によってまちまちです。他の災害と違って長期化する可能性が高いことが噴火の特徴です。
Q. 富士山が大噴火をおこした場合は、どの程度続くのでしょうか?
歴史的には、1707年の富士山宝永噴火は1ヶ月程度続いたと記録が残っています。ただ、富士山はそれまで、何十年か一度、定期的に噴火する火山でした。しかし、宝永噴火を最後に300年以上沈黙しているため、今度の富士山噴火はかつてない量の火山灰を放出する可能性も指摘されています。
Q. 噴火の備えは何日分が適切ですか?
噴火は長期にわたる可能性がありますが、数年分の備えをするのは現実的ではありません。
最も噴火が激しく、火山灰などの放出が激しいのは最初の数日と考えられるため、最低でも3日間程度はマスク等の準備をしておいたほうが良いでしょう。長期化した場合に備えると、2週間程度の備えになります。それ以降は物流もある程度回復していると予想されるため、手元の備蓄品がなくなり次第、必要に応じて購入します。
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