富士五湖の地震は富士山噴火の前触れ?

山梨県東部・富士五湖のあたりでは、ときどきまとまった地震が起こります。すぐそばには富士山がそびえているため、大きな揺れがあると「富士山が噴火するのではないか」と心配になる方も多いと思います。実際にこの一帯では、震度5弱以上の地震がこれまで何度か起きてきました。気象庁は、地震の発表の中で、あるいは毎月の火山活動の資料で、富士山の様子にも触れています(3件のうち2件)。

気象庁がこれまでに出した発表を見比べると、富士山について繰り返し使われている言葉があります。2026年6月26日には最大震度6弱の地震がありましたが、その月の富士山の解説資料には「噴火の兆候は認められません」と書かれています。2021年12月の地震のあとにも、「富士山の観測データには特段の変化は認められていません」とされています。だからといって、この先も何も起きないと決まったわけではありません。まずは、気象庁がこれまでの発表で富士山について何と言ってきたのかを、確かめていきましょう。

気象庁は富士山をどう見ている?

地震のあと、多くの方が気になるのは富士山の状態だと思います。先ほど触れたとおり、気象庁は2021年12月の地震のときに「富士山の観測データには特段の変化は認められていません」としました。2026年6月の火山活動解説資料でも「火山活動に特段の変化はなく、静穏に経過しており、噴火の兆候は認められません」としています。ただし2026年6月の地震そのものの発表には、富士山への言及はありませんでした。7月・8月の解説資料にも、同じ言葉が続いています。

気象庁がこの資料で見ているものは、いくつかあります。ひとつは、山頂近くを映す監視カメラにうつる噴気のようすです。もうひとつは、火山性の地震や、火山の内部で起きる低い周波数の揺れの回数、地面のわずかな動き(地殻変動)です。これらのどれにも、いまのところ目立った変化は無いとされています。

地震と噴火の関係そのものについて、気象庁の発表は述べていません。発表からわかるのは、いま観測している範囲では、富士山の様子に変わったところが見当たらない、ということです。噴火に近づくとどんな変化が起きると考えられているかは、富士山噴火の予兆でまとめていますので、あわせてご覧ください。

富士五湖では過去にどんな地震があった?

「山梨県東部・富士五湖」を震源として気象庁が報道発表を出した地震のうち、当店が資料を確かめられたのは、2012年・2021年・2026年の3件です。表の数字はいずれも、地震の直後に発表された「暫定値」(あとで精査されて少し変わることがある速報の値)です。

発生日 マグニチュード 最大震度(場所) 震源の深さ
2012年1月28日 M5.4 5弱(忍野村・富士河口湖町) 18km
2021年12月3日 M4.8 5弱(大月市) 19km
2026年6月26日 M5.6 6弱(富士河口湖町) 20km

出典:気象庁 報道発表(2012年1月28日発表・2021年12月3日発表・2026年6月27日発表)。数値はいずれも暫定値。

2012年の地震では、本震の4分前にも、マグニチュード5.0の地震が起きていました。その日の午前中だけで、震度1以上の余震が5回観測されています。緊急地震速報(予報)は地震検知からおよそ3秒後に出されましたが、警報の基準には届きませんでした。

2021年の地震も、同じ日の未明にもう一度、大きな揺れがありました。午前2時18分ごろに最大震度4の地震があり、そのおよそ4時間後に、最大震度5弱の地震が起きています。同じ日の午前8時までに、震度1以上の地震が3回観測されました。

2026年6月26日の地震は、震源の深さ20キロメートルで起こりました。震度は東北地方から中国地方にかけての広い範囲で観測され、震度5強から1までが記録されています。津波の心配はないとも発表されています。ただ、この発表そのものには、富士山について触れた記述はありませんでした。

気象庁は2026年6月の資料で、震源の周辺で過去に起きた主な地震もあわせて示しています。富士五湖そのものではなく、周辺一帯の記録です。

発生日 マグニチュード 名称・震源
1923年9月1日 M7.9 関東地震(神奈川県西部)
1923年9月1日 M6.8 山梨県中・西部
1924年1月15日 M7.3 丹沢地震(神奈川県西部)
1930年11月26日 M7.3 北伊豆地震(静岡県伊豆地方)
2011年3月15日 M6.4 静岡県東部

出典:気象庁 2026年6月27日発表資料(今回の地震周辺の過去の主な地震活動)

いずれも富士五湖そのものではない場所の地震ですが、周辺では大きな地震がたびたび起きてきたことが分かります。2012年より前に富士五湖そのもので起きた震度5弱以上の地震は、気象庁の震度データベース検索でさかのぼって確かめられます。

表の最後にある2011年3月15日の地震は、東日本大震災の4日後、午後10時31分ごろに起きました。気象庁の発表では、震源は静岡県東部、深さ14キロメートル、マグニチュード6.4(暫定値)で、静岡県富士宮市で震度6強を観測しています。震源が富士五湖ではないため、章の初めの3件には入れていません。ただ、このとき最初に出た緊急地震速報(第1報)では、震源の地名が「山梨県東部・富士五湖」となっていました。0.5秒後の第2報からは「静岡県東部」に改められています。

その年の富士山の活動をまとめた気象庁の資料では、この震源を「富士山の南部付近」と説明しています。同じ資料によると、地震のあと、震源から山頂の真下あたりにかけて地震が増え、最大で震度4の揺れも観測されましたが、しだいに落ち着いていきました。資料は「火山活動に特段の変化はなく、噴火の兆候は認められません」と結ばれています。

富士五湖からは外れても、富士山の近くで起きた地震はほかにも記録されています。気象庁の「日本活火山総覧」の富士山の項目には、地震の記録として次のものが載っています。

時期 記録されている内容
1926年8月13日 地震。震央は富士山の南東のふもと
1987年8月20〜27日 山頂で揺れを感じる地震が4回(最大震度3)
2000年10〜12月・2001年4〜5月 深部低周波地震(気象庁の2011年の資料では、深さ15km付近を震源とする地震)が多発
2011年3月15日 静岡県東部(富士山の南部付近)でM6.4。その後、山頂の真下あたりにかけて地震が増え、しだいに低下

出典:気象庁「日本活火山総覧(第4版)」富士山

この表の地震のあとの記録に、噴火は載っていません。ただ、それはこれまでの記録の話で、この先も同じだと決まったわけではありません。

地震のあと富士山の様子はどこで分かる?

気象庁は、富士山の火山活動解説資料をおよそ1か月ごとに公表しています。噴気や地震、地殻変動のようすが、そのつど図と言葉で示されるしくみです。大きな地震のあとに気になったときは、この資料で最新のようすを確かめられます。ただし月1回の公表のため、地震の直後には、その月の資料がまだ出ていないことがあります。そのときは、前の月の資料と、気象庁の火山活動の状況(富士山)のページ(噴火警戒レベル)をあわせて見ておくと安心です。

富士山の噴火予報は、いまのところ噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)です。対象は山梨県側の富士吉田市・鳴沢村、静岡県側の御殿場市・富士市・富士宮市・裾野市・小山町です。レベルの意味は噴火警戒レベルの一覧にまとめています。

地震のあと1週間は何に注意する?

気象庁は、地震のたびに同じような呼びかけをしています。過去の事例では、大きな地震のあとに同じくらいの揺れが起きた割合は1〜2割あるとされています。そのため、地震が起きてから1週間程度は、同じ程度の揺れにあらためて注意するよう案内されています。特に、最初の2〜3日は、規模の大きな地震が起きやすいともされています。

2026年6月の発表では、揺れの強かった地域について「家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が高まっています」としたうえで、「大雨注意報が発表されている地域では、大雨による土砂災害に注意してください」と、雨の降り方にも注意するよう呼びかけられました。

離れて暮らすご家族がいる場合は、気象庁の呼びかける「身の安全を図る」ことの一つとして、無事を確かめる連絡を取っておくと安心です(当店からの提案)。

揺れたあと、富士山の備えは何から?

大きな地震のあとには、富士山の噴火を心配する声も見られます。Yahoo!知恵袋には、こんな相談が投稿されていました。

もしも富士山が噴火したら、関西まで、(兵庫県)まで影響出ますか?今のうちに防災グッズをそろえておこうと思っています。ヘルメット、粉塵マスクはいりますか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14242147799
投稿日:2021年4月23日

この相談のように、噴火の影響がどこまで広がるかや、身を守る道具について気になる方は多いと思います。灰がどこまで届くと想定されているかは、被害予測から備えを考えるにまとめています。ヘルメットや、粉じんを防ぐマスク・ゴーグルの選び方は、火山灰から身を守るマスク・ゴーグルの選び方で確認いただけます。

地震そのものへの備えに加えて富士山の噴火にも備えておきたいという方は、富士山噴火への備え 完全ガイドや、防災士が答えた防災に関する12の質問もご覧ください。富士五湖で大きな地震が起きるたびに富士山のことが気にかかるのは自然なことです。気象庁の発表を確かめながら、ご家族で備えを話し合っておくと、いざというときにも落ち着いて行動しやすくなります。

参考

気象庁 報道発表 平成24年1月28日「平成24年01月28日07時43分頃の山梨県東部・富士五湖の地震について」
https://www.jma.go.jp/jma/press/1201/28a/201201280940.html
確認日:2026-09-27

気象庁 報道発表 令和3年12月3日「令和3年12月3日06時37分頃の山梨県東部・富士五湖の地震について」
https://www.jma.go.jp/jma/press/2112/03a/202112030840.html
確認日:2026-09-27

気象庁 報道発表 令和3年12月3日 資料全文PDF
https://www.jma.go.jp/jma/press/2112/03a/kaisetsu202112030840.pdf
確認日:2026-09-27

気象庁 報道発表 令和8年6月27日「令和8年6月26日22時28分頃の山梨県東部・富士五湖の地震について」
https://www.jma.go.jp/jma/press/2606/27a/202606270040.html
確認日:2026-09-27

気象庁 報道発表 令和8年6月27日 資料全文PDF
https://www.jma.go.jp/jma/press/2606/27a/kaisetsu202606270040.pdf
確認日:2026-09-27
(地震のタイプ:北西—南東方向に圧力軸を持つ逆断層型。長周期地震動階級1を神奈川県・山梨県・静岡県で観測)

気象庁 火山活動解説資料(富士山)令和8年6月分
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/report/monthly_v-act_doc/tokyo/26m06/314_26m06.pdf
確認日:2026-09-27

気象庁 火山活動解説資料(富士山)令和8年7月分
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/report/monthly_v-act_doc/tokyo/26m07/314_26m07.pdf
確認日:2026-09-27

気象庁 火山活動解説資料(富士山)令和8年8月分
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/report/monthly_v-act_doc/tokyo/26m08/314_26m08.pdf
確認日:2026-09-27

気象庁「火山活動の状況(富士山)」噴火予報・噴火警戒レベル
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/report/activity_info/314.html
確認日:2026-09-27

気象庁 報道発表 平成23年3月16日「平成23年3月15日22時31分頃の静岡県東部の地震について」
https://www.jma.go.jp/jma/press/1103/16a/201103160000.html
確認日:2026-09-28

気象庁 報道発表 平成23年3月16日 資料全文PDF(緊急地震速報の発表状況を含む)
https://www.jma.go.jp/jma/press/1103/16a/kaisetsu201103160000.pdf
確認日:2026-09-28

気象庁「平成23年(2011年)の富士山の火山活動」
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/report/monthly_v-act_doc/tokyo/2011y/314_11y.pdf
確認日:2026-09-28

気象庁「日本活火山総覧(第4版)」55.富士山
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/filing/souran/main/55_Fujisan.pdf
確認日:2026-09-28

気象庁 震度データベース検索
https://www.data.jma.go.jp/eqdb/data/shindo/index.html
確認日:2026-09-27

Yahoo!知恵袋(質問の投稿)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14242147799
投稿日:2021年4月23日/確認日:2026-09-27

更新日:2026-09-27
著者:日本防災士機構認定 防災士(上地)
運営:シーノン株式会社

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