富士山噴火に備える

富士山は日本を代表する活火山であり、それだけに噴火の発生にも大きな関心が払われています。

富士山は若い火山であり、元々は活発な噴火で知られています。最後に噴火した1707年の宝永噴火の前には、5,600年間中180回と、30年に1回の高い頻度で噴火したことが分かっています。そのため、次回の噴火は300年間のエネルギーが溜まった大規模なものになる可能性は、多くの専門家に指摘されているところです。

さらに、富士山の噴火は、南海トラフ巨大地震との連動の可能性も指摘されています。実際、1707年の富士山噴火(宝永噴火)は、その49日前に南海トラフ巨大地震(宝永地震)が起きていました。南海トラフ巨大地震は30年以内の発生確率が80%近いとされており、発生の際には富士山の噴火も合わせておこる可能性が考えられています。

※地震と噴火の連動は必ず地震→噴火の順に起きるわけではなく、逆の噴火→地震の順もあります。

備えあれば憂いなしで、多くの日本人に関心の高い、富士山噴火への備えについてまとめました。

富士山の噴火警戒レベル

現在の富士山噴火警戒レベルは「1」で、噴火の危険はありません。

気象庁HPから富士山の各情報を確認できます。

富士山の噴火警戒レベル(気象庁)
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/314.html

 

 

 

 

富士山の火山観測データ(気象庁)
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/open-data/open-data.php?id=314

富士山噴火の予兆

富士山が噴火する前には前兆があると考えられています。富士山は地下にあるマグマが上昇して噴火するタイプの火山のため、マグマ上昇にともなう岩盤が割れて起きる地震や、山体の膨張を観測すれば噴火の前兆を捉えることができると考えられています。

他にも伊豆諸島近海の海底火山の噴火や、富士山近辺の湖の水位変化が予兆現象と言われることがありますが、いまのところ富士山噴火との関連性については明白な因果関係は見られておりません。

ただし、現実には全ての前兆現象を捉えられる訳ではなく、またどの現象が前兆にあたるのか明確に理解されているわけではありません。そのため、いつ噴火が起きても大丈夫なように、常に準備を備えて、実際に避難が必要になった際には慌てず行動できるよう心がけておくことが大事と言えます。

なお、富士山に限らず火山の噴火の予兆としていくつかの現象があります。事前の備えとして参考にしてください。

噴火の予兆・前兆
https://hun-ka.com/pages/volcanicsigns

富士山噴火の災害予測

山梨県・静岡県・神奈川県(西部)に居住:避難が必要なエリア

この地域は富士山噴火時に溶岩、火砕流、火砕サージ、大きな噴石、融雪型火山泥流などの危険があります。富士山火山防災対策協議会(※)が作成した富士山噴火の統合ハザードマップから、影響の及ぶ範囲を確認しましょう。

※富士山火山防災対策協議会:山梨県・静岡県・神奈川県及び3県内の関係市町村並びに関係機関の連携により、富士山の噴火時の総合的な避難対策等に関する検討を共同で行う協議会
https://www.bousai.go.jp/kazan/fujisan-kyougikai2

 富士山噴火の統合ハザードマップ

https://www.pref.yamanashi.jp/documents/53471/167-169.pdf

富士山噴火の統合ハザードマップ

地域の富士山噴火時の方針を知る

こうした協議会での検討を元に、各地域で防災マップや避難計画が作られています。居住または関係する地域のHPから、噴火防災マップや避難計画について情報を入手して下さい。特に噴火時の避難指示は、情報不足による避難の遅れ、または現場の混乱を避けるために、必ず関係地域の指示に従うようにしましょう。

富士山噴火に関連したハザードマップ

以下に一例を列挙します。

徒歩での避難・車での避難

富士山火山防災対策協議会が2022年3月公表した「避難計画」中間報告で、溶岩流が3時間以内に到達する範囲の一般住民の避難方法は「噴火後に徒歩で」に改められました。高齢者や障害者のような要支援者については、従来の「噴火前に車で」を維持しています

車で避難した場合、パニックによる渋滞や事故が予想され、また緊急車両の通行を妨げたげる可能性があるため、溶岩流が3時間以内に到達する範囲では徒歩避難となっております(富士山からの溶岩質は歩くスピードより遅く流れると予想されているため)。必ずお住まいの地域の方針を確認しておきましょう。

一例として、車で避難の場合と徒歩で避難の場合が記載された富士宮市富士山火山避難行動マップを紹介します。

富士宮市富士山火山避難行動マップ
http://www.city.fujinomiya.lg.jp/citizen/b4l1vf0000001xn7-att/b4l1vf0000001xq2.pdf

東京・神奈川県(東部)・千葉県・埼玉県に居住:降灰の影響があるエリア

この地域は富士山噴火時に避難の必要はないものの、広範囲に火山灰の降ることが予想されています。降灰可能性マップでお住まいの地域の降灰予想を確認しましょう。

降灰可能性マップ

 

 

https://www.pref.yamanashi.jp/documents/53471/160-164.pdf

降灰の量によって、以下の被害が予想されています。

  • 2cm:何らかの健康被害が発生するおそれあり
  • 10cm:降雨時、土石流が発生
  • 30cm:降雨時、木造家屋が全壊するおそれあり
  • 50cm:30%の木造家屋が全壊

降灰の影響

富士山火山防災対策協議会で作成された、降灰によるライフラインや交通への影響です。

富士山火山防災対策協議会 富士山火山避難基本計画 (案)より
https://www.pref.yamanashi.jp/documents/53471/03-4_shiryouhen.pdf

火山灰から身を守る

火山灰は小さなガラス片によって構成されているため、眼や鼻口に入ると人体を傷つけます。そのためマスク、ゴーグルをつけて身を守りましょう。噴石の可能性がある地域ではヘルメットもご着用ください。

ライフラインや物流の停止に備える

降灰の影響で上下水道、電力、交通、通信の影響が出ると考えられています。噴火の収束時期は事前に予測できないため、最低3日間、できれば1〜2週間分の用意をしておきましょう。(噴火は1ヶ月以上続く場合がございます)

  • 非常用トイレ:https://hun-ka.com/collections/toilet

その他の対策

建物、車、精密機器、農作物の対策
https://hun-ka.com/pages/planning-3

火山灰の処分
https://hun-ka.com/pages/planning-5