噴火対策には何を準備すればいいの?

予想される災害とその範囲を知る

噴火災害は「火口」から近い場所ほど大きな被害が予測されます。
例えば、多数の死傷者が出た御嶽山のように、登山中に噴火が起きて自分が火口付近にいたとしたら、逃げる時間もないまま噴石によって命を落とす可能性があります。
一方、火口から離れている場所では、火山灰の被害土砂災害があるかもしれません。
地震と違って被害が長期化するのも噴火災害の特徴と言えます。
自分の住まいや職場・学校など日常生活圏が、噴火が起きた際にどれほどの危険が予測されるのか予め整理しておく必要があります。

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ハザードマップ(火山防災マップ)をチェックしよう

火山の防災には、まず「ハザードマップ(火山防災マップ)」をチェックしましょう。
活火山の過去の歴史やデータを分析すると、火山ごとに噴火の仕方には一定の特徴があることから、将来の噴火もそのような特徴があるだろうと予測して、被害とその範囲を算出しています。
ハザードマップ(火山防災マップ)を見ることで、自分の住んでいる場所が危険なのか、あらかじめ予測することが可能です。
ただ、火口が形成される場所がどこになるかで、被害の範囲も変わってきます。
図のように、富士山の過去の噴火のデータを調べると、火口が形成された場所は複数あり、頂上でなく北西に傾いた楕円形に囲まれた範囲で、山の側面に集中しています。
ハザードマップ(火山防災マップ)は「火口の位置」や「噴火の規模」「噴火の種類」が変動するという前提の上で、危険な可能性のあるエリアを表示しています。

すべてのエリアが危険というわけではないので、実際に噴火が起きた時は、気象庁から発表される「噴火警戒レベル」などの情報や自治体からの情報を基準に判断しましょう。また、現在では自治体の防災の取り組みが進み、居住地のエリア分けがなされて、エリアごとに避難できる体制ができつつあります。

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参照:富士山火山防災マップ

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火山ハザードマップデータベース

噴火警戒レベルをチェックしよう

ハザードマップ(火山防災マップ)に加えて、事前に「噴火警戒レベル」についてもチェックしておきましょう。
「噴火警戒レベル」「警戒が必要な範囲」「とるべき防災対応(5段階)」について気象庁から発表されるものです。

「警戒が必要な範囲」「1.火口内等」「2.火口周辺」「3.火口から居住地近くまで」「4,5.居住地及びそれより火口側」という基準に分かれています。

それに合わせて「とるべき防災対応」「1.活火山であることに留意」「2.火口周辺規制」「3.入山規制」「4.避難準備」「5.避難」という5段階になっています。

実際に噴火が起きる前から、ハザードマップ(火山防災マップ)と合わせて「噴火警戒レベル」を確認し、実際に噴火が起きた時の避難行動をシミュレーションしてみましょう。

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噴火のシナリオとして考えられる一例として、「予兆」だけの段階から、実際に噴火が起き、噴石が飛んだり、火砕流が発生したり、溶岩が流れてきたとします。また、時間がさらに経過して、付近の河川で土石流が起きたりもします。
このように、火口が形成された場所を中心として、危険な地域が広がっていくので、居住地も危険になった場合には「噴火警戒レベル5」が発表され、住民の避難が必要となります。

観光で訪れる方も、噴火警戒レベルのパンフレットを事前に目を通して、危険な地域の確認と避難方法などをチェックしておくといいでしょう。

※噴火警戒レベルは1〜5の順番に発表されるというものではありません。最初からレベル5になるケースもあります。

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「噴火警戒レベル」が運用されている火山のリーフレット

避難グッズと非常用持ち出し品

実際に噴火が起きて、自分がいる場所が生命の危険にさらされる可能性があり、避難が必要となったときには、身を守る装備をする必要があります。

噴石から守るため頭には防災用ヘルメットをかぶります。
火山灰から守るために、(火山灰対策)ゴーグル(火山灰対策)マスクを装着し、長袖長ズボンやレインコートを着て肌を露出させないようにします。

噴火が実際に起きてからではパニックになってしまいます。そのため、事前に噴火対策の防災グッズ・非常用持ち出し品を用意し、避難場所と避難経路を確認しておく必要があります。

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避難に備えて事前に準備するものリスト

火山から離れた地域でも大量の火山灰に備える

自分は火山から遠く離れた場所に住んでいるから何も対策をしなくて大丈夫、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、火山灰によって広大な範囲で災害が起きる可能性があります。

実際に起きた1707年の富士山噴火の時には、富士山近辺の山梨・静岡だけではなく、神奈川・東京・埼玉・千葉まで火山灰(降下火砕物)の被害の記録が残っています。噴火が起きた時の季節が冬だったので、偏西風の影響を強く受けて、東側への被害が大きくなりました。

現在、富士山火山防災マップには、1707年の火山灰の記録を参考にしながら、火山灰が降る可能性のある地域のデータが記載されています。

※噴火が起きる「季節」や「火口の位置」によって範囲が変わるので、あらゆる可能性を想定して作成されています。
※噴火の種類や規模によって実際に起きる被害は異なる場合があります。

富士山火山防災マップより

もし1707年の富士山噴火の規模と同じ災害が現代に起きたらどうするか、対策を考えておく必要があります。

火山灰が降り積もる量と被害の度合い

1cm以下 JRなどの電車が止まる可能性。飛行機が運行できない可能性。
稲作が1年間収穫できなくなる可能性。
1cm〜 道路が滑りやすくなったり、視界不良などで交通に支障をきたす。
停電が発生する可能性。
2cm〜 一般の人でも目・鼻・喉など気管支の健康被害が起きる可能性。
畑の作物が1年間収穫できなくなる可能性。
7.5cm〜 頑丈でない建物の屋根が崩壊する可能性
30cm〜 雨が降った場合、重みが増して家屋が崩壊の可能性
45cm〜 木造家屋が崩壊の可能性
100cm〜 森林の壊滅的被害
住宅の破壊などの可能性

内閣府(防災担当)、消防庁、国土交通省水管理・国土保全局砂防部、気象庁「火山防災マップ作成指針」より

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1cm以下の微量の火山灰でも、コンピュータに支障が起きたり、太陽光発電ができなくなる、物流に支障をきたす、といった、現代の都会ならではの災害が起きることが予想されます。

火山から離れた地域に住む人が「火山灰被害」に備えて準備するもの

火山から少し離れた地域にいる人たちは、大きな噴石や火砕流、溶岩流などの心配はありませんが、火山灰の被害に備えて以下のような準備をしておくと安心です。

  • 火山灰対策ゴーグル火山灰対策マスク
  • 最低3日分の飲料水と食料
  • ラップ(電化製品やコンピュータに火山灰が入らないようにするため)
  • 停電しても使える携帯電話の充電機
  • 懐中電灯と予備の電池
  • (寒いときの停電に備えて)暖房や防寒具
  • (病院に行けない場合に備えて)予備の医薬品・救急箱
  • 火山灰を清掃するためのシャベル、ほうき、ゴミ袋
  • 多少の現金(ATMや銀行が利用できない可能性あり)
  • 自動車にも防災用品を準備しておくこと(自動車に閉じ込められる可能性もあり)

参考:独立行政法人 防災科学技術研究所「降灰への備え-事前の準備、事後の対応」

アメリカ合衆国内務省・アメリカ地質調査所
アメリカ地質調査所 Volcanic ash
内閣府「火山灰から身を守るための対策」
国際火山災害健康リスク評価ネットワーク製作パンフレット「GUIDELINES ON PREPAREDNESS BEFORE, DURING AND AFTER AN ASHFALL」
産業技術総合研究所 つくば中央第七事業所 宮城磯治「火山灰への備え」
防災科学技術研究所製作・パンフレット「火山灰から身を守ろう」
筑波大学大学院システム情報工学研究科・都市防災研究室,鉄道建設・運輸施設整備支援機構製作・パンフレット「火山灰被害を軽減するために」
小山真人著「富士山噴火とハザードマップ-宝永噴火の16日間」
伊藤和明著「地震と噴火の日本史」
神沼克伊・小山悦郎著「日本の火山を科学する-日本列島津々浦々、あなたの身近にある108の活火山とは?」
鎌田浩毅著「火山噴火ー予知と減災を考える」
鎌田浩毅著「地震と火山の日本を生き延びる知恵」
鎌田浩毅・高世えり子著「もし富士山が噴火したら」
富士山火山防災協議会「富士山火山防災マップ」
鎌田浩毅著「富士山噴火-ハザードマップで読み解くXデー」
関谷直也・廣井脩 「富士山噴火の社会的影響:火山灰被害の影響についての企業・行政調査
木村政明「富士山大噴火!不気味な5つの兆候」
木村政明・山村武彦著「富士山の噴火は始まっている!」